ラブレター・フロム・銚子

去年に引き続き日焼けをするために銚子に出かけた。
なんでまた銚子かというと、1に適度な寂れ具合、2に交通の便、3に食べ物だろうか。とにかく江ノ島や熱海みたいなごちゃごちゃしたとこはもう御免だ。ただ海を眺めながらのんびり日焼けしたいだけなんだ。お台場なんか論外。




銚子よ私は帰って来た! 去年は銚子電鉄に乗り継いですぐに海岸まで出たが、今年は一旦改札を出て昼食をとることにする。しかしこの駅前のロータリー結構な交通量の割りに信号が無くて怖いんだ。




駅前から伸びる目抜き通り左手すぐにあるサーディンファクトリーでイワシバーガー。



サーディンファクトリーは信田缶詰の直営店で土産物コーナーには同社の商品が並ぶ。サバカレーの缶詰もあった。



食事の後は銚子電鉄に乗って終点の外川まで。ほとんどの観光客はひとつ手前の犬吠埼で降りてしまう。この写真は駅から出て正面の風景。去年は初日に何も考えずにまっすぐ坂を下りて行って失敗した。長崎海水浴場へは、ここを右にUターンし、ちょっと行ったところにある踏み切りを右折、そのまま10分ぐらい直進してたどり着かなければならない。電車の進行方向から言うと、はるか左の方角。




道中にあるスーパー。ありがたいことに観光とは全く無縁の周辺住民のためのごく普通のスーパーだ。ここで冷たいものや食料を調達するのが通。ビールだってあるぜ。




どう見ても普通の田舎の住宅地&畑な中をてくてく進む。この時点で引き返さなかった去年の自分は偉いと思う。それか熱で頭がやられてたか、どっちかだ。




ちょっとした雑木林のトンネルが見えてきても心細さに泣いたりしないで。突っ切ると海が見えてくるから。




いかにも計画性の無い人物が書きなぐったらしい看板に不安感を煽られるが、目的地は近いようだ。




着いた。う〜ん。適度にまばらなこの人出。素晴らしきかな長崎海水浴場。一応海の家が一軒あり、更衣室やトイレも無料で利用可能。シャワーは200円。必要最低限のものがコンパクトにまとめられている。あ、でも砂浜は結構岩がゴロゴロしてるので足の裏が痛い。岩場に無理やり砂をしきつめて作った感じ。



砂浜に設置されたスピーカーからB'zがガンガン流れる中、DSで『ゼルダの伝説夢幻の砂時計』をやろうとしたけど、あまりに日差しがきつくて液晶が見えね〜。ってことは去年よりも天気は良いのか。



適当に日向ぼっこをしてから銚子に戻って宿をとってあるサンライズ銚子へ。ソファでマックフルーリー舐めてると、強烈な既視感に襲われた。




夜はあら煮が美味かった「かみち」に行ったんだけど、あいにく満席状態。4人がけの座敷に座っているカップルの隣に「相席になりますが」と通されそうになった。ふざ、ふざけ……っっっ!!! 「あ、じゃあ後でまた来ます〜」と店を出た。あっぶね〜。あのまま空腹にまかせてカップルの隣にあがりこまなくて本当に良かった。どっちも不幸だよそんなもん。人生どこに落とし穴があるかわからん。かみちのある本通以外を彷徨うが、なかなかの寂れ具合。一歩通りを間違うと真っ暗だ。強烈に漂う材木の臭いが言いようも無い寂寞の念をくすぐってくる。写真はガスト。周りの暗黒具合との対比がエドワード・ホッパーの絵画のようだった。一瞬迷ったけど、さすがに銚子まで来て晩飯がガストってのは完全に敗北だ。素通りした。



商店街はどこも静まりかえっている。これで鉄パイプでも落ちてたら完全にサイレントヒルだよ。焦るんじゃない。俺は腹が減っているだけなんだ。どこか遠くで祭囃子の音が聞こえた。



フラフラになりながらも運良く「大久保」というすし屋にたどり着いた。とりあえず生ビールとあら煮……は無いのでカレイの煮付け&メニューで大プッシュの伊達巻セットを注文。すぐに店員(眼鏡ッ娘)がやってきて「カレイはいま切らしてまして、漁船が出てなくて云々……」と。いかんなァ……なんでこうなる。煮付けのかわりにマグロのほほ肉の治部煮を頼んだ。伊達巻セットは伊達巻と玉子寿司とかんぴょう巻という、普段ならまず頼まないネタだらけの代物だ。しかし美味かったですよ? 伊達巻はすごい甘さだったけど、なんとも言えないツルツルした食感で。たまにはいいよなこういうのも。



「大久保」で携帯をいじってるうちに銚子駅の近くにちょっと面白そうなラーメン屋があるのを発見した。ので、眼鏡ッ娘には名残惜しいけど早々に店を出る。支那そばとインドカレーの店「インデアン」。時代に完全に取り残されたようなこのたたずまい。支那。インデアン。カレー。甘味。僕は今、ひょっとしてとんでもないものを目撃しているのか?



閉店時間1時間前の誰もいない店内には初老、というよりもお爺さんと呼んだ方がいいかもしれないご主人が。とりあえず支那そばとカレーを両方味わえるインデアンセットを頼んだけど、どう考えてもどっちかひとつだけで満腹になりそうな腹具合だったし、狭い店内で店主と差し向かい状態で残さないようにラーメンとカレーを完食しようと脂汗を流す光景が瞼に浮かんだので思い直してカレーのみに変更。な〜に、美味ければ明日ラーメンも食べに来ればいいさ。



ほどなくしてカレーが出てきた。黒っっ!! イカスミ? ひとくち食べて驚いた。なんだこれ美味いぞ! いままで味わったことがない味覚。濃縮された苦味と甘味と辛さが同時に口の中に広がるような。デミグラスソースを煮詰めに煮詰めまくったような。量はやや少なめだけど、適量かもしれない。これ以上食べ続けると確実に気分が悪くなる予感がした。それぐらい濃厚な味わい。



形として残ってる具はこのポーク肉のみ。これが噛みでがあって美味かった。あ、もちろんご主人にとても美味しかったのでありがとうの旨を伝えて店を出た。銚子に来ることがあったらまた来たい。後で知ったが、翌日は定休日だったみたい。一期一会とはこのことである。紆余曲折あったけど、すべてあのカレーのためだったと思えば悪くない。かみちの気の利かない仲居さんありがとう。原油高のあおりで漁を休んだ漁師さんありがとう。ドバイの金持ちありがとう。一人で大盛り上がりの僕であった。



翌日は曇天だったので予定を変更して海には出ずにすぐ帰ることにした。泊まる必然性がなかったわけだけど、こういうのは雰囲気雰囲気。写真は乗り換えついでに本八幡の魂麺で食べた太魂。麺は太くてまるで、そう……うどん? そしてつゆは魚介ベースの、喩えるなら……うどん? 全体的な印象としてはかな〜りうどん! うどんが食べたいときに行くといいかもしれない。